悪魔と私
4
「信じる気になったかよ?」
「まあね」
「……アンタ、意外と物分かりいいんだな」
結論から言うと、写真に男は写らなかった。
何かトリックがあるのかと考えたが、私のカメラで私が撮影したのだ。
何か仕掛けるような時間はなかった。
信じ難いが、確かに男はこの世の者ではないのかもしれなかった。
何枚とっても、男は写らず、写真には汚い和室が写るだけなのだ。
自分の目で認識したのだから、信じるしかない。
「で、貴方は悪魔なの?」
私が率直に問うと、男は「いかにも」と頷いた。
「つっても見習なんだけどな」
「なんだ。半人前か」
「ウルセーな。見習いの中じゃ、成績トップなんだぜ。それに今回、アンタの願いを叶えて対価をもらったら、俺は一人前だ」
悪魔に見習いや成績なんてものがあるとは初耳だ。
いや、悪魔が実在するということ自体が初耳なのだが。
「で、貴方は、どうやったら帰ってくれるの?」
私は今、1番気になっていることを口にした。
さもここで一緒に暮らすかのように、畳を直し、部屋の片付けをはじめた男に私は危機感を持っていた。
邪魔以外の何者でもない。
私にだってプライベートというものがある。
そう悩む私に男はさらりと、答えた。
「アンタが俺に望みを言ってくれりゃいいんだよ」
「それだけ?」
「ああ。で、俺がその望みを叶えて、それ相応の魂を頂く。そしたら契約は完了して、俺もアンタも解放される。」
「魂とられるの?」
「当たり前だろ。俺は悪魔だぜ?無償で望みを叶える訳ねえだろ」
「何もしなくていいから帰ってくれない?」
「それは契約上無理。例外はない」
なんて理不尽な契約だ。
悪魔じゃなかったら、消費者センターに通報してやりたい。
変な物を畳の裏に仕掛けた前住人が恨めしい。
私はため息を着いた。
そして、対価が小さそうな望みをいってみる。
「……窓拭いて綺麗にして」
「んなもん、自分で出来るだろ」
「じゃ、畳張替えて。汚いから」
「それは畳屋に頼めよ」
ことごとく却下される私の望み。
男曰く、魔法陣には種類があり、あれは高位な術式だったらしい。
「まあね」
「……アンタ、意外と物分かりいいんだな」
結論から言うと、写真に男は写らなかった。
何かトリックがあるのかと考えたが、私のカメラで私が撮影したのだ。
何か仕掛けるような時間はなかった。
信じ難いが、確かに男はこの世の者ではないのかもしれなかった。
何枚とっても、男は写らず、写真には汚い和室が写るだけなのだ。
自分の目で認識したのだから、信じるしかない。
「で、貴方は悪魔なの?」
私が率直に問うと、男は「いかにも」と頷いた。
「つっても見習なんだけどな」
「なんだ。半人前か」
「ウルセーな。見習いの中じゃ、成績トップなんだぜ。それに今回、アンタの願いを叶えて対価をもらったら、俺は一人前だ」
悪魔に見習いや成績なんてものがあるとは初耳だ。
いや、悪魔が実在するということ自体が初耳なのだが。
「で、貴方は、どうやったら帰ってくれるの?」
私は今、1番気になっていることを口にした。
さもここで一緒に暮らすかのように、畳を直し、部屋の片付けをはじめた男に私は危機感を持っていた。
邪魔以外の何者でもない。
私にだってプライベートというものがある。
そう悩む私に男はさらりと、答えた。
「アンタが俺に望みを言ってくれりゃいいんだよ」
「それだけ?」
「ああ。で、俺がその望みを叶えて、それ相応の魂を頂く。そしたら契約は完了して、俺もアンタも解放される。」
「魂とられるの?」
「当たり前だろ。俺は悪魔だぜ?無償で望みを叶える訳ねえだろ」
「何もしなくていいから帰ってくれない?」
「それは契約上無理。例外はない」
なんて理不尽な契約だ。
悪魔じゃなかったら、消費者センターに通報してやりたい。
変な物を畳の裏に仕掛けた前住人が恨めしい。
私はため息を着いた。
そして、対価が小さそうな望みをいってみる。
「……窓拭いて綺麗にして」
「んなもん、自分で出来るだろ」
「じゃ、畳張替えて。汚いから」
「それは畳屋に頼めよ」
ことごとく却下される私の望み。
男曰く、魔法陣には種類があり、あれは高位な術式だったらしい。