悪魔と私
2
「なあ、アンタ。なんで、こんな貯金あるのに、ボロアパートに住んでんだ?」
次の日、目を覚ますと、悪魔が私の部屋を物色していた。
どうやら、結局寝れなかったらしい。
悪魔は、「ついでに、荷物開けといてやったぞ」なんて、偉そうに言うが頼んでない。
確かに、残りのダンボールが全て開けられ、部屋が綺麗にセッティングされて助かったが、私物を物色されるのは気分が悪い。
私は、悪魔から通帳を奪い返して、タンスの奥にしまった。
「私がどこに住もうが勝手でしょ」
「いや、そりゃそうだけど。あんだけ金あるなら、もっと綺麗で広い部屋に住みたいとか思わねえの?」
「思わない。この部屋で十分じゃない。駅から近いし」
寝て、食事して、入浴する。
それができれば、なんら問題はない。これ以上何を望むというのか。
私は、昔から無駄なものを持つのが嫌いだ。
ここは、会社からの距離も調度よく、プライバシーも守られるので、最高だ。
そう私が言うと、悪魔は呆れた顔で私を見つめた。
「でも、この部屋。女の一人暮らしには見えないぜ?」
「ベッドと机と収納があればいいじゃない。何がいけないの」
「畳なのに、なんでベッドなんだよ。っていうか、女なら、もっとオシャレにしたいとか思わないわけ?」
「余計なお世話」
私は悪魔に背を向けて、キッチンに立ちトースターに食パンを一枚いれてタイマーをセットする。
そして、流しで顔を洗ってさっと髪をまとめ、部屋に戻ってスーツに着替えた。
「おい!オレいるのに普通に着替えるなよ!」
「あ、ごめん。つい癖で。でもここ、私の部屋。貴方がいる方が悪い」
「少しは恥じろよ。つか、俺、男だぞ。悪魔だけど」
「あっそ。勝手に興奮しないでね。気持ち悪い」
「こっ、この鼻血はちげーよ。昨日、アンタが畳で殴るから、中の血管が切れてクセになってるだけで……!」
「はいはい。そうですか」
鼻血を押さえながら訴えかける悪魔を、適当に言い負かして、私はトーストにかじりつく。
「後ろ向いててとか、それくらい言えよな」
納得いかないように、ぼそりと呟く悪魔を無視して、食事を終えた私は化粧を済ませる。
「じゃあ、行ってくるけど、部屋荒らさないでね」
「荒らすもんねえだろ」
もちろん、悪魔は留守番だ。
私は、バタリと扉を閉めたのだった。
次の日、目を覚ますと、悪魔が私の部屋を物色していた。
どうやら、結局寝れなかったらしい。
悪魔は、「ついでに、荷物開けといてやったぞ」なんて、偉そうに言うが頼んでない。
確かに、残りのダンボールが全て開けられ、部屋が綺麗にセッティングされて助かったが、私物を物色されるのは気分が悪い。
私は、悪魔から通帳を奪い返して、タンスの奥にしまった。
「私がどこに住もうが勝手でしょ」
「いや、そりゃそうだけど。あんだけ金あるなら、もっと綺麗で広い部屋に住みたいとか思わねえの?」
「思わない。この部屋で十分じゃない。駅から近いし」
寝て、食事して、入浴する。
それができれば、なんら問題はない。これ以上何を望むというのか。
私は、昔から無駄なものを持つのが嫌いだ。
ここは、会社からの距離も調度よく、プライバシーも守られるので、最高だ。
そう私が言うと、悪魔は呆れた顔で私を見つめた。
「でも、この部屋。女の一人暮らしには見えないぜ?」
「ベッドと机と収納があればいいじゃない。何がいけないの」
「畳なのに、なんでベッドなんだよ。っていうか、女なら、もっとオシャレにしたいとか思わないわけ?」
「余計なお世話」
私は悪魔に背を向けて、キッチンに立ちトースターに食パンを一枚いれてタイマーをセットする。
そして、流しで顔を洗ってさっと髪をまとめ、部屋に戻ってスーツに着替えた。
「おい!オレいるのに普通に着替えるなよ!」
「あ、ごめん。つい癖で。でもここ、私の部屋。貴方がいる方が悪い」
「少しは恥じろよ。つか、俺、男だぞ。悪魔だけど」
「あっそ。勝手に興奮しないでね。気持ち悪い」
「こっ、この鼻血はちげーよ。昨日、アンタが畳で殴るから、中の血管が切れてクセになってるだけで……!」
「はいはい。そうですか」
鼻血を押さえながら訴えかける悪魔を、適当に言い負かして、私はトーストにかじりつく。
「後ろ向いててとか、それくらい言えよな」
納得いかないように、ぼそりと呟く悪魔を無視して、食事を終えた私は化粧を済ませる。
「じゃあ、行ってくるけど、部屋荒らさないでね」
「荒らすもんねえだろ」
もちろん、悪魔は留守番だ。
私は、バタリと扉を閉めたのだった。