ハンズ
こうやって、千尋と何気なく過ごす時間はとても楽しい。


最近の千尋は、以前にも増してよく笑う様なった。

その笑顔は俺に向けられた、ただ1人の微笑み。

そう、感じる様になっていた俺ーーー

日を増すごとに、千尋を身近に感じていた。


朝、ベルに送られてくる『オハヨウ』。

夜の『オヤスミ』。


記憶を繋ぎ止めておくリハビリだと、千尋はベルにメールを送ってくれるが、

公衆電話のプッシュボタンとにらめっこしている千尋の姿を想像すると、いじらしかった。
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