ハンズ
「巧君?

千尋ちゃんと一緒じゃないわよね?」



いつになく焦る祥子さんの声色に、俺の心臓も高鳴った。

「千尋がどうかしたんですか」




今となっては、祥子さんにどんな声で話していたかなんて覚えていない。

そこには、あのけがれのない透明な千尋だけを想う、俺がいたんだ。
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