観覧車
「観覧車なんて、
カップルみたいだね。」
彩花が観覧車のほうを
見ながらそう言った。
「カップルだろ、僕たちも。」
僕も観覧車を見ながら、
そう言った。
正直な話、彼女と観覧車に
乗るのなんか 初めてで、
僕の頭のなかは
向かい合って座るのかとか
手は繋ぐのかとか
抱き締めるのか
頂上でキスをするのかとか
そんなくだらないことばかりだった。
観覧車の前まで行くと
そこには他の3組のカップルが
もうすでに、
いちゃいちゃしながら並んでいた。