ハートの形した花
白石に連れられて行った場所は、中庭のそばにあるプールだった。
「これ、見てくれ!」
柵越しに白石が指差したところには、なわとびが落ちていた。
「これがどうしたわけ?」
九が、だるそうに聞く。
「いやいや、おかしいと思わんか?」
確かに、プールサイドになわとびが落ちているということは、おかしい。
なわとびの授業がある時期は、冬だし、そもそもまだプール開きもしていないから、施錠されたプールに入ることもできない。
「まあ、大方、冬になわとびを失くした子がいて、そのなわとびが誰かに見つかって、ふざけてプールに投げ込まれただけじゃない?」
香恋の推測と俺も同じ意見だった。
「いやいや、香恋ちゃん。これは、きっとなわとびで首を吊った女の子の霊が夜中、プールでなわとびをしたんじゃと僕は思うんじゃ!」
どうやら白石は、無理矢理にでも心霊話に持っていきたいらしい。