ハートの形した花





「で、どうするわけ?取りに行くの?」




香恋が柵にもたれながら聞く。




「いやいや、呪われとる可能性があるけんのお・・・」




白石が肩を震わせる。




「じゃあ、ほっといていいじゃん」




香恋の言う通りだ。
北村先生もそれを拾わなかったからと言って、怒ることはしないだろうし、まず、施錠されたプールに無断で入ることに怒られるだろう。




すると、そんなことをよそに、九が突然、柵をよじ登りだした。




「おま、何しとるん?」




「え?取るに決まってんじゃん」




そう九は、言った。




「いやいや、危ないし、そんなん取ってどうするん?」




と、俺が言い終わる前に、九は、もう柵を飛び越えていた。




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