ハートの形した花
俺は、その晩。
九のことを考えていた。
九は、ああは言っていたけど、きっと内心は、違うんだと思う。
最愛の人がいなくなって、悲しくないわけがない。
寂しくないわけがない。
そういう面も含めて、九は、強いなと思う。
いつもは、強がっているようだけど、本当は悲しかったり、寂しくなったりすることだってあるはずだ。
そんな九に俺ができることは・・・
そんなことはない。
どうしようもないし、赤の他人が踏み越えていけない領域だと思う。
なら、別のことで九を元気にしてあげたい。
それなら俺にだってできることはあるはずなんだ。
半ば強引とはいえ、なわとびを教えてもらっていることもある。
そのお礼と称して、何か九を元気にしてあげたい。
まあ、九自体は元気なんだろうけど。
とにかく、何か俺の手で喜ばせてあげたかった。