ハートの形した花




「彼女がおるけんって手加減はせんでー?」




住岡がちらっと九の方を見る。
いや待て、彼女じゃない。




勘違いされたらどうするんだ、まったく。
住岡って意外と性格悪いんだな。




とりあえず、これで勝負は振り出しに戻った。
あのシュートを見るからに、俺には止められそうにない。
うちの正ゴールキーパーにだって無理だろう。




つまり、決め続けるしか俺の勝ち目はない。
仮に住岡がサイドに外すとしても、確率で言えば、かなり低いだろう。
コースを狙わなくても威力で押し負けるし。




ただ、俺には勝つ以外の選択肢はない。
勝たなきゃいけないんだ。




ここで負ければ・・・住岡だけでなく
おそらく他の人も誘えないだろう。
俺だけならともかく、九のことを嫌っている連中が多いし(高柳、恋ヶ窪、白石etc)
逆に九のことをなんとも思っていないけど、俺のことを嫌っている連中もいる(琴吹、西田、相生etc)




つまり、ここで住岡の力がなければ、人を集められないだけでなく、本来の目的も果たせない。
約束一つ守れない男は最低だ。




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