ハートの形した花




これは、罠だ。




完全に山張りをしている。




あたかも、そこへ蹴らせようとしている。
俺が空いている右側へ蹴った瞬間、住岡はそれを待ち構えていたかのように、体重を左へと移すだろう。




これは、左へ蹴るべき・・・なのか。
いや、でも、既に左側のスペースを埋めている住岡だ。
右側に山を張っていたとして、移動距離を考えると蹴った瞬間にボールを見極めることは容易い。
考えたな。




つまり、こうなると、必然的に空いている右側へ思いっきり蹴り込むしかない。
これは心理戦なんかじゃなくて、俺の蹴ったボールが速いか、住岡の移動が速いかの勝負なのだ。




必ず。
必ず決めてやる。




俺は、深呼吸をし、助走に入る。
大丈夫だ。
落ち着いていれば大丈夫。




大丈夫!




< 150 / 345 >

この作品をシェア

pagetop