ハートの形した花




神社は、人は誰もいなかった。




「ここの鳥居って赤いんやね」




俺の家の近くにある神社は、鳥居が灰色をしている。
赤い鳥居の神社は初めて見た。




「うん。なんか珍しいよね」




俺たちは、近くのベンチに腰掛けた。
すぐにでもお守りを買って帰ることはできたが、それはしなかった。
俺は、もうこれはただのおつかいではなく、「大事な話があるから、しばらく外にいてほしい」ということだと気づいたからだ。
多分、相生はそのことを俺よりも前から気づいていたはずだ。




「私ね、京介くんのこと、本当はちょっとだけ好きやったんよ?」




相生がそんなことを急にしゃべりだしたのは、そんなことを考えている時だった。




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