ハートの形した花





俺の席になぜか、高瀬が座っている。




高瀬伸二(たかせしんじ)。
俺と幼稚園が一緒で、2年生の時のクラスメイト。
一年前までは、ただの旧友というか、腐れ縁というか、そういう関係。




そして、こいつは相生真希と付き合っている。
それを皮肉にも、俺は、告白した直後に知った。




「何しとるん?」




「座ってる」




「帰ってください」




「まあまあ、そう焦らんでいいやん」




ったく・・・しょうがないな、こいつは。
ここはあの手を使うか。




「いや、違うんよ。そうやなくて、さっき職員室寄ったら、由美先生が"高瀬くんに大事な話がある"って言っとったけん、呼んでくるように言われたんよ」




高瀬はそれを聞いて、ふーんという顔をした。
なんだ?




「それなら、行かんといかんねー。それじゃ、またな!」




そう言って、高瀬は席を立って教室を出た。




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