ハートの形した花





「えー、今日からこの4-3の担任をすることになった、北村晃一(きたむらこういち)です。よろしく」




どうやらその男は、俺たちの新しい担任らしい。




「うわっ、男の先生やん!」




そう声を上げたのは、大島和彦(おおしまかずひこ)。
俺と同じサッカースクールに通っている。
こいつは、本当にアホで、クラスのムードメーカー的な存在。




ついでに説明しておくと、こいつは、琴吹理子(ことぶきりこ)という
ポニーテールが似合う、動物が好きな女の子と付き合っている、らしい。
詳しくは知らないけど、多分、そうだ。




「男で悪かったな」




そう言いながら、大島をにらみつける。




「先生、先生の名前ってどういう字書くんですか?」




そう言ったのは、住岡陸(すみおかりく)。
こいつも俺たちと同じサッカースクールに通っていて、
俺が唯一認める理解者というべき人物。




「おお、忘れていた」




そう言って、先生は黒板に「北村晃一」と書いた。




「先生、趣味は?」




そう聞いたのは、川田勇人(かわだゆうと)。
消しゴムを弾いて落とすバトル、ケシバトが強く、
俺のことを「永遠のライバル」と称している。




「写真だ。というか、敬語を使え。あと、次からは手を挙げて質問するように」




そう釘を刺した。




「先生!」




手を挙げたのは、西田あずさ(にしだあずさ)。
西田は、礼儀正しい子で、絵を描くのがうまい。




「はい、そこの君」




「風の噂で聞いたんですけど、このクラスに転校生来るんですよね?」





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