ハートの形した花
どこかの制服を着崩し、茶髪で、琴吹のトレードマークでもある
ポニーテールというか、琴吹の三倍はありそうなほど長いポニーテール。
その女子は、転校生で、でかい白石とかいう転校生の横で、黒板に「九」と書き、それをみんなに読めるかどうか聞き、相生が「キュウ」と答えたことに対して声を荒げて笑っている。
なんだ、こいつは。
「イチジク。いい加減にしろ」
北村に怒られ、その「イチジク」と呼ばれた女子は目を丸くした。
「さすが、先生だね。読めるんだ?」
どうやら、「九」は、「イチジク」と読むらしい。
「はーい。九 佐和子(いちじく さわこ)だよー!東京からはるばる来たんだけど、ここって虫多いし、マジ最悪って感じだよねー」
東京から来たやつってみんなこうなのだろうか。
俺は、後ろの席の香恋をチラッと見た。
九佐和子と名乗る女子をどこか遠い目で見ていた。
「香恋?」
俺は、香恋の名前を呼んだ。
「え!?何?私、可愛い?」
可愛いかどうかは別として、
どうやら香恋は至って普通のようだ。