ハートの形した花




将来のことなんて考えたことがなかった。
将来なんてまだまだ先のことだ。




去年の夏祭り。
ガイヤカーニバルの終わりに、花火に向かって叫んだ夢。




大島と住岡はサッカー選手。
琴吹は、獣医。
西田は画家。
相生は医者。
高柳は三遊亭楽太郎に会うこと。
そして、俺は・・・




ずっとみんなと一緒に居たい。




ただ、これは、将来の夢とは言えない。
というか、歳をとれば、必然的にみんなと離れ離れになる。
そんな夢は叶うわけがない。




となると、ここは無難に。




「はい。サッカー選手です」




俺は、そう答えた。
サッカースクールの中でもベンチの俺がサッカー選手になんてなれるとは思っていないけど、こう言えば無難な感じがする。
誰にも馬鹿にされないし、かっこいい。




「そうか。サッカー選手か。いいな」




北村先生は、そう言ってくれた。




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