ハートの形した花
それから何となく時間もあったし、俺たちは土手に座った。
会話はなく、俺は川を眺め、九はというと、草をむしっていじっている。
「これ、どう?」
九が俺に草冠を見せてきた。
「へえー、都会人やのにそういうの作れるんやねー」
「昔、おばあちゃんに教えてもらったからねー」
九はそれを被ってみせた。
同級生の中でもこういうの作れる人はほんの一握りだろう。
意外だった。
「ねえ、ここ好きなの?」
九の質問の意味がわからない。
「ここって?」
「ヒアーよ」
「英語で言われてもわからんのんやけど・・・」
「あんた、もしかして宇宙人?」
こいつ、本当に何なんだ。