ハートの形した花
「やってもみないで何で決めつけるの?」
「やったことあるん?」
「ないよ」
九は、冠をフリスビーのように川へ投げた。
「けど、やってみたいなって思ってる。だってこんな街にいるよりずっといいじゃん。日本、いや、世界は広いんだよ?その全部の中から好きなところを選ぶ方がよくない?生きてる間に全部周れるかどうかもわからないし」
九はそう答えた。
そして、続けた。
「ねえ、私と一緒に見つけない?」
「何を?」
「ここじゃないどこかいい場所」
草冠は、悠々と海の方へと流れていた。