ハートの形した花
二階に上がって、自分の部屋に入る。
と言っても、2つ下の弟の勇気と共同だけど。
窓際にある机にランドセル代わりに使っているリュックを置き、鉛筆とノートを出す。
この後、九と作戦会議をするためだ。
作戦とは、「ここを出てどこかへ行く」ということ。
九の提案だ。
と言っても、ここではないどこかへ行くということだけで、行き先も、資金も期間も決まっていない。
九には九なりの考えがあるのかもわからない。
九にさっき言われたことは、「とりあえず、筆記用具を持って、12時に家の前の安出川の土手に集合ということだけだ。
あんなに優しそうなお父さんがいて、ここではないところへ行きたいなんて、九は何を考えているんだろうか。
ここは、場所を探すフリをして、ここの良さを知ってもらえるように仕向けるほうがいいのだろうか。
「じゃあ何でここを出ようとしないわけ?」
九の言葉が引っかかる。