ハートの形した花
「はあー、じゃあ、他の伝探すしかないねー」
そう言って、九は考え始めた。
その隣で俺は、別のことを考えていた。
九のためにできること。
九は、とにかくここが嫌だから逃げ出したいと思っている。けど、それはやっちゃいけないこと。
となると、九には我慢させることになる。
そんなことさせるのは俺としてもつらい。
ほんの数時間前に会ったとはいえ、友達だと思っている。
家も隣だし。
選択肢があるとすれば、一つしかないだろう。
「この計画、中止にせん?」
はあ?と言った風な顔で九は俺を見た。