ハートの形した花
「よし。じゃあ、授業を始める。その前に、宿題を提出してもらう」
宿題・・・だと?
そんなものは、なかったはずだ。
まさか、俺が聞いていなかっただけなのか?
いや、そんなはずは・・・
「先生!昨日、宿題なんか出てないでー?」
一番前の席の高柳が立ち上がって言った。
高柳の言う通りだ。
昨日は出ていない。
それを叱責するように、北村先生は教卓をバンッ!と叩いた。
「高柳。言い直せ」
クラスがシーンとなったところで、北村先生は、続けた。
「いいか。先生は、頭のいい私立の中学校へ入学して、県内でも有数の進学校へ入学して、国立の大学を出て、こうしてみんなの前に立っている」
クラスがざわつく。
やはり先生ともなると、エリートコースまっしぐらって感じなんだ。
クラスのざわつきを収めるように、また教卓がバンッ!と響く。