ハートの形した花





もうこれ以上、何かを失うのは嫌だった。




俺、高柳、大島、住岡、西田、琴吹、そして、相生。
このメンバーで見た夏の花火。
そして、俺の願った夢。




「みんなとずっと一緒に居りたい」




相生真希という女子に恋をして、振られて、気まずくなって、
その夢を俺は、自分から捨ててしまったのだ。




そして、残った夢のかけら
それが今のクラスだ。
そのかけらでさえも今、徐々に失いつつある。




相生をはじめ、西田も、琴吹も。
やがて、琴吹の彼氏であろう大島も、大島と仲のいい住岡も、そして、高柳でさえも。
みんな失うことになるのだろうか。




自分で招いたことだ。
しょうがないといえば、しょうがない。
ただ、過ぎて行った時間は元に戻せない。
リセットできない。




涙が出そうだった。
パンプキンスープが不思議としょっぱく感じた。
ひょっとしたら、もう泣いているのかもしれない。




悟られてはいけない。
周りには、香恋や九、白石がいる。
ダメだ。
泣くな、俺。
ダメだって・・・



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