ハートの形した花




やばい。
俺は、顔を拭った。
周りの反応は、今、どうだろうか。
何を見ているのだろうか・・・




みんな向いている。
前を向いている。
なんだ?
前に何かあるのか?




「ええー!?もう食べ終わったんですかー!?」




みんなの注目の的は北村先生だった。




「ん?ああ、まだやることが残っているからな」




北村先生はキョトンとしていた。
いや、そんなことより、早すぎる。
まだ3分しか経っていない。




そして、あの早食い女王、西田がまだ食べ終わっていなかった。




「げっ!?あず姉さんより早い!!」




高柳の一声でクラスがざわついた。
口々に「あの西田が・・・」と騒いでいる。




白石と九はキョトンとしていて、
「何?なんかやばいの?」
と聞いてくる始末。




北村先生は、その騒ぎについては何も言わなかったが、
「ゆっくり食べるように」の一言で、クラスの笑いをかっさらっていった。




久々にみた笑顔のクラスに、俺は少し安心した。




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