ハートの形した花




学校の方も北村先生のお茶目な一面もあり、みんなも慣れてきた。




相変わらず厳しかったが、それはたまのムチだ。
アメもちゃんとあった。




早食い女王の称号をはく奪された西田はというと、負けをきっかけに引退したのか、北村先生に怒られてからなのか、ゆっくり食べるようになった。
まあ、それでも十分早いのだが・・・




そんなこんなで、一週間経ったわけだけど、こんなに早く慣れるとは思わなかった。




ただ、最近、ちょっと悩んでいることがある。




ああ、ちょうど今。
右斜め前から視線を感じる。




その目は、憧れの視線ではなく、かといって汚物を見るような目でもなく、
狂気。
この言葉が一番しっくりくる。




白石龍馬。
最近、ずっとこの調子だ。
いい加減にしてほしい。




だからと言って、がたいのいい白石と殴り合いでもしようものなら、
俺は、入院費を両親にねだらなければいけない。
おこづかい何年分になるだろうか。
計算をすると、指が足りない。




だから、俺は白石には何も言わない。
いや、言えないのだ。




そもそも、なぜ白石が俺に怒りの矛先を向けるのか。
元凶はこの方!




「京介くーん!香恋、髪切ってみたんだけど、どう?」




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