極彩色のクオーレ
おとぎ話「壊れた少年兵」
戦争のとても強い国に、ひとりの少年兵がいました。
彼は国のため、たくさんの戦場に赴きました。
たくさん敵を殺した彼はとても強く、先輩や同輩がいなくなってからも、新兵たちと共に戦いました。
やがて彼の体に、無数の”心”が生まれました。
悲しみ、嫌悪、絶望、怒り、恐怖、そして殺意。
六つの感情に苦しみながらも、彼は戦い続けました。
来る日も来る日も、彼は真っ赤な世界に身を投じていました。
けれども彼はとうとう耐えきれなくなり、武器を捨てて戦場から逃げ出しました。
『もう苦しみたくない。誰も死なせたくない、傷つけたくないよ』
しかし、芽生えた暗い感情は延々と彼をいじめました。
彼は苦しみながら森をさ迷いました。
助けてくれるものは何もいません、だって殺人鬼の彼はひとりぼっちですから。
いつまでもいつまでも、彼はひとりで泣いていました。
めでたしめでたし
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