極彩色のクオーレ
ニコは動かなかったはずの腕を動かしてティファニーの肩を掴み、上体を起こした。
いきなりのことにティファニーは少し驚いたが、とっさに彼の体を支えようと手を伸ばす。
彼の体は小刻みに震えていて、カタカタと機械の回る音が聞こえた。
「……人を殺したのに、こうして生まれ変わって、たくさんの心を覚えられました。
人を好きになることができて、ずっと長い間壊されそうになってきたけど、こうして大切にしてもらえました」
声が聞こえる。
それは戦場で聞いてきた声ではない。
この街や戦場ではない別の場所で耳にしてきた人々の声だった。
姿も浮かぶ。
ニコが愛おしく想う人々の姿が見える。
誰も悲しい顔をしていなかった。
誰もが楽しそうに笑っていて、温もりを感じた。
そうだ、人は冷たくない、触れれば励まされるほど温かいんだ。
「ティファニー……ありがとう」
ニコは両手でティファニーの顔を包むと、そっと額同士をくっつけた。
片腕をニコの肩に回したまま、ティファニーは左手を彼の片手に添えて、慈愛に満ちた表情になった。
とめどなく涙が落ちていく。