極彩色のクオーレ
「ねえ、ニコ……こんなところで寝ちゃダメだよ?
ニコはゴーレムの体だけど、人みたいに、風邪なんか引いたら大変だから……。
ゴーレムのお医者さんもお薬も、きっとないから。
……それに、中央塔の修理、まだ終わっていないんでしょ?
早くニコが戻ってあげないと、みんな困っているよ。
ニコ……ほら、起きなきゃ、ねえ?」
セドナも涙を流してニコを見つめていた。
ラリマーは赤くなった鼻を擦って前髪をくしゃりと握り、シャロアは眼鏡を外して空を仰いでいる。
誰もティファニーを止めない。
否、止められない。
彼女に何と言葉をかければいいのか分からないのである。
ティファニーは理解していない訳ではなかった。
理解しているけれど、それをすぐに認めらなかっただけだった。
話し掛けて体を揺すって、でも閉じた瞼がもう二度と動かないことを見て、ようやく受け入れようとした。