極彩色のクオーレ





「それ、なーんかやだなぁ、今回はハッピーエンドになってほしいな、俺は」


「だけどさ、バッドエンドのほうが面白くない?ハッピーエンドよりずっとリアルだし」


「いや、ビジュのバッドエンドな話いっぱい見てきたけど、今回のこのバッドエンドは今までにないくらい後味悪いよ。


これは大きなハッピーエンドにつながる前座とみて間違いないね」


「うーん、そう見せかけて……」


「や、もしかすると……」



子どもたちが物語の結末についてあれこれ言い合い、最終的には考えこむ。


ビジュと呼ばれる道化師は、一冊の使い込んだ本をとりだした。


適当にめくっていき、その手を止める。



「実をいうとね、今回のお話は今までのものとは少し違うんだ」


「え、なにが?」


「これは僕が君たちぐらいの頃、ぼくの両親から聞いた話をアレンジした劇なんだよ」


「嘘つけ!」



すかさず、一番やんちゃな男の子が否定する。



「ビジュの言うことは九割適当だって、この間教えてもらったぞ!」


「それは否定しないけど、このことは本当だよ~」


「うっそだあ。そんな『天才』の話も、人間に近いゴーレムの話も、不思議な目をもつ女の子の話も、俺たち聞いたことないぞ。


母ちゃんとか語り部のお婆も、そんな話してくれたことなかったし」




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