極彩色のクオーレ
どこかで続いていく物語
--------
----
--
薄く同じ形に切られた銀のパーツが軸につけられていく。
すると軸の先端に小指ほどの大きさの薔薇が咲いた。
中心にはめ込まれたガーネットが煌めく。
その作業を間近で見て、あどけなさを表情に残す少年はほうっと息を吐いた。
「すっげえ……本当に銀片で花になった」
「でしょお?ま、今までの修行の賜物かしらね」
「すごいです、さすが工房長!
5分もかけずにこんなちっさい薔薇つくれるなんて……お、俺もやってみていいですか?」
目の前でつくられた薔薇をじっと見つめて、少年は頬を紅潮させた。
ヒーラーはにっこり笑って少年の頭をぽんと叩く。
「ん~、フロウちゃんにはまだちょぉ~っと早いかしらねえ。
薔薇は難しいから、一番簡単な桜からやってみましょうか。
ちょうど外にいっぱい咲いているし、まずは実物をスケッチしてきなさい」
「はい!」
元気よく返事をして、フロウと呼ばれた少年は画材を取りに棚へ向かう。
隣にあるケースの前では彼とさほど歳の変わらない別の少年が、慎重な手つきで宝石を取り出そうとしていた。
まるで爆弾を扱っているようだ。
にやりと笑ってフロウは忍び足で少年の背後に近づく。