極彩色のクオーレ
「わっ!」
「ひああっ!?」
少年が驚いてビクンと肩を跳ねさせた。
その拍子に彼の手からカット前のタウルマス鉱石がとび出した。
また悲鳴をあげて少年が慌ててキャッチする。
惨事を免れた少年は安堵の溜息をついてバットに置き、驚かしたフロウを睨みつけた。
「ちょっと、何すんのさ、フロウ!」
「へっへっへ。その宝石を運ぶのにどんだけ時間かける気なんだ?
ぐずぐずしてるから早くしろって言ってやっただけだよ」
「だからって驚かす必要なんてないじゃん。
僕タウルマス石落とすところだったんだからね!?」
「それはオニキスが鈍臭いからだろ?」
「何それ、慎重にやってた僕が悪いって言いたいのかよ?」
「慎重って、慎重すぎるにも程度ってもんがあるだろうが、日が暮れるぞ。
いつまでセドナ先生待たせる気なの?」
「先生は道具の扱いは慎重に、特に宝石類は命レベルに扱えっていつも言ってるよ」
「だからって」
ごんっ
「あでっ」
腕を広げて肩を竦め、やれやれというポーズをとるフロウの頭に痛そうな音が鳴る。
オニキスがあっという顔で口元に手をやった。