極彩色のクオーレ





思わぬセドナの言葉にオニキスが泣きそうになる。


オニキスは驚かされるのが少し苦手なのだ。


セドナは励ますようにオニキスの背中を叩いた。



「あんまり度が過ぎていたら、その時は俺や先輩に言えばいいから。


だけどオニキスはその怖がりを何とかしねえとなー」


「そんなあー」


「ほらほら、オニキスはタウルマス石を作業台に持って行け。


そしたら研磨機を使えるようにしておいてくれよ。


フロウは桜のスケッチに行くんだろ、ほら、ちゃきちゃき動けー」



場を切り替えるように、セドナはパンと手を叩いた。


二人は返事をしてそれぞれの仕事に戻る。


フロウは画材を持ってすぐに外へ行ったが、オニキスはやっぱりおっかなびっくりな様子でゆっくりだった。


次の作業に移るまであと数分はかかりそうだ。


オニキスを待っている間に他の仕事を片付けようと工具を取り出すセドナをヒーラーがつついた。



「なんすか?」


「オニキスちゃんのああいうところ、セドナちゃんそっくりよねぇ~。


あんたも昔はああだったのよ。


今だって慎重にしすぎなくらいだわ。


あの頃のあんたに比べたら、まーだオニキスちゃんの方がましね」


「俺はあそこまでひどくはなかったっすよ。


先輩の記憶違いじゃないんすか?」


「そんなことないわよ、失礼しちゃうわねえ。


それに、先輩じゃなくて工房長よ、こ・う・ぼ・う・ちょ・う」


「はいはい、そうっしたね、ヒーラー工房長。


先輩の方に呼びなれてるんすから諦めてくださいよ」




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