極彩色のクオーレ
その質問に、シャロアの笑みが一瞬消えた。
怖いほどの無表情にぞわりとする。
そして老獪な商人のように唇の端をめくり、白い歯をちらりと見せた。
それに負けずティファニーは問いかけを続ける。
「ニコがずっとあなたに聞きたがっていたことよ。
ルースを出ていくなら、その前にこれだけは答えてちょうだい」
「あいつが聞きたがっていたことを君が今聞いて何になる?
ただ君が知りたいだけなんだろ?」
「そうだよ、私もあなたが何を思ってそうしたのか知りたい。
それに私はあの子の家族だから、少なくとも知る権利はあると思うの」
家族、とティファニーは言った。
主という言葉を選ばなかったことにシャロアがわずかに眉を動かす。
それから肩を竦めて、まだ夜の気配が強い空を仰いだ。
「あいつに話した通りだよ、おれがあいつを捨てたのはどうしようもない最低の人間だからだ。
おれは造ること自体にしか興味を抱けない……完成しちまったものを傍に置いてずっと大切にし続けられないのさ。
おれにとって大切なのは造るまでの過程であり、完成した瞬間、その人形やゴーレムはおれにとって無価値に等しいものになる。
どんなに高性能で、25番目のように人間そっくりのゴーレムだとしてもだ。
そんなやつと一緒にいても、人間に近い心を持つあいつを苦しめるだけだろう?
しかもあいつは賢いから、それを悟って自分の胸に押しとどめるはずだ」