極彩色のクオーレ





「……じゃあ、ニコを手放したのは彼のことがいらないと思ったんじゃなくて、彼のことを大事に思っていたからなの?」



シャロアは肯定とも否定ともつかない音声で答えた。


背中を向けられているし、おまけに星明かりしかなく、シャロアの表情は分からない。


ティファニーは暗闇に沈む自分のつま先に目を落とした。



「……私には何が正しいのか分からない。


でも、あなたがニコを自由にさせてくれたから、私はニコと出逢えて家族になれた。


ニコに会って人との繋がりも生まれて、心について考えれたし、素直に話すことだってできた。


それにニコがいなかったら、私は今も目隠しをして隠し続けていたと思う。


だから、あなたがニコを助けてくれたことは、すごく感謝している……ありがとう」



造り直されたニコの代わりに感謝するのはエゴなのだろうか。


見方によれば、シャロアに捨てられたことを肯定しているようにも思えるかもしれない。


でも、そういう経緯があったから今の自分がある。


感謝の気持ちを抱かない方がおかしなことであった。


するとシャロアが振り返り、両手をせわしなく振って頭を下げようとするティファニーを止める。




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