極彩色のクオーレ
「……そういうところって?」
「知らない方がいいよ、自分の長所って、自覚していない方が輝くもんだってどっかの村のじーさんが言ってた」
言われていることの意味がぴんと来ず、ティファニーは怪訝に思って首を傾げる。
シャロアは自分で言っておきながら、自分の口から出た言葉が気障だったらしく、苦虫をかみつぶしたような顔でそっぽを向いた。
ますます分からなくなったティファニーが不満そうに唇を尖らせる。
そうしていると、街の方から雄鶏が甲高く鳴く音が聞こえてきた。
東の空の端が白くなりかかっている。
シャロアが誤魔化すように空咳を何度か繰り返して手を一つ叩いた。
「おっとやべえ、もうこんな時間か。
そろそろ行かねえと、あいつらが起きてきたら何かと面倒だからな」
「あ、ちょっと待って」
言い終えるや否や、足元に置いてあった鋏を担いで道を進もうとしたシャロアをティファニーは慌てて止めた。
ティファニーは慌ててシャロアの背中を掴もうとして、掴み損ねて彼の長い三つ編みを思い切り引っ張ってしまい、転倒させてしまった。
「うおっ!?」
「わっ、ご、ごめんなさい!私そんなつもりじゃ……」
「平気平気、おれ頑丈にできてるからさ。
しっかしなかなか強引な止め方だな。で、どうしたの?」