極彩色のクオーレ
割れた羅針盤は修復できなかったが、同じサイズの盤をセドナが作ってくれた。
きれいに澄んだ海の色をした盤は、ネックレスとして胸にかけている。
そこにあるのは6つの負の針と、秘色色と黄色の針の8本だけ。
ほかの針はすべて、ニコにその感情を教えた仲間に渡した。
ニコがいたことを忘れてもらわないために。
ニコがこの絆の中に確かにいたという証にするために。
ニコに教えたその心を、いつまでも大切にしてもらうために。
ティファニーの想いを察した彼らは、針を装飾品に加工して毎日身に着けていた。
リビアのブレスレットの針もである。
「あれ、もうテガミバト放しちゃったの?」
小さな花瓶にカランフラワーを挿して戻ってきたリビアが、出窓を開けて外を見ているティファニーを見て残念そうな声を上げた。
「もうって、もう15分くらい経つよ?
いい加減出してあげないとかわいそうじゃない」
「残念、たまには自分で花を供えに来なさいって、あたし特製のびっくり箱をつけてやろうと思ったのに」
「びっくり箱って、何を入れるつもりだったの?」
予想通りというか予想外というか、相変わらずやることが厳しいリビアの発案にティファニーは苦笑した。
ラリマーはリビアからの手紙にいつもびっくり以上のびっくりが詰まった箱を添えられているのかと思いながら、出窓を閉めようと手を伸ばす。