極彩色のクオーレ
するとそこに、今度はリビアの水色のテガミバトが飛んでくる。
足にはレムリアンからの手紙が結んであった。
「あら、どうしたのかしら?」
リビアが丁寧に細長く折ってある手紙を広げる。
オッドアイが左右に動き、読み終えたところで肩の力を抜いた。
「どうしたの?」
「大したことじゃないわ、今あの子が街の西側に来ているから、一緒に病院に行かないかって。
迎えに来させるのもあれだから、あたし帰るわね」
「うん、分かった」
持っていたポーチから桜色の便箋を取り出し、リビアは2、3行そこにペンを滑らせてテガミバトにくわえさせた。
テガミバトは主人の指に首元をこすりつけてじゃれてから、出窓ではなく庭に面している窓から外へ飛び立つ。
リビアはすっかり冷めてしまった飲みかけの紅茶を空にして玄関に向かった。
「じゃあまた来るわね、紅茶とサブレごちそうさま」
「ううん、遊びに来てくれてありがとう。
今度行くときは、別の紅茶とお茶菓子を持っていくね」
「わあ、嬉しい。だけど、しばらくあたしがここに来るようにするわ。
見送りも玄関まででいいから」
「え?」
リビアがドアを開けた。
青空にはうっすらと黄丹色の霞がかかっており、一日の終わりが近づいていることを伝えてくる。