極彩色のクオーレ
一緒に出ようとしたティファニーは、見送りを断られきょとんとして立ち止まる。
するとリビアは日傘を広げて振り返ると、すっとティファニーに顔を近づけて囁いた。
「おなかの負担になるかもしれないでしょ。
あんた細いんだから、身体がしっかり慣れるまでは控えておいた方がいいってクロアが言っていたわ」
言いながら、リビアはティファニーの腹部に優しくタッチする。
「……え?」
リビアの言葉と、そこに含まれている意味に気づいて、ティファニーは目を丸くして驚いた。
誰にも話していないはずなのに、どうして知っているのだろう。
「ね、ねえリビア、私そのこと話して」
「うん、聞いてないわ。だけどその反応は的中ってことね。
大丈夫よ、セドナには言わないでおいてあげるし、あんたが話すまで知らないことにしておいてあげるから」
ティファニーの鼻をつついて、リビアはいたずらっぽく笑って舌を出す。
真っ赤になって何か話そうにも言葉が出てこないティファニーにひらひら手を振って、颯爽と街へ帰って行った。
やや呆然としながらティファニーはドアを閉め、そこに座り込んで熱くなった顔を押さえる。
「……そんなに、分かりやすかったかな、私」
頭の中で、様々な気持ちや考えや形にならない言葉が渦を巻いている。
まったく収集が付かない状態になっていた。
気持ちを落ち着かせようとティファニーは深呼吸して、カランフラワーを供えようとリビングに向かった。