極彩色のクオーレ
しおれていた薄紫色の花弁は少し元気になったようである。
ティファニーはその花を花瓶ごと、景観岩でつくったニコの墓石の前に供えた。
束の間目を閉じる。
風がそよぎ、花の香りがふわりとティファニーの鼻をかすめた。
「……ニコ、またシャロアが花を届けてくれたよ。
昨日はハックが来てくれたし、その前には忙しいのにタンザが来てくれて、ケセラとギベオンもお供えしてくれたよね。
みんなが供えに来てくれるから、ここはいつも賑やかだわ」
墓石に話しかけるが、そこに当然声が返ってくることはない。
それでも聞こえているならと思って、ティファニーは墓石の縁を撫でて語りかけ続けた。
「ねえ、気づいてる?
みんな色んな花でつくった花束を供えてくれるけど、絶対にこのカランフラワーを入れてくれてるの。
シャロアもカランフラワーが咲くこの時期には必ず届けてくれるんだよ。
どうしてだか分かる?」
もちろん返事があるはずない。
少しさみしげにほほ笑んで、ティファニーはカランフラワーをつついた。