極彩色のクオーレ
職人の街 ルース
深い山や険しい山に囲まれ、さらには鬱蒼と広がる森に覆われた『木の国』、リシャーナ。
この地へやってきた先代の人々は森を開拓し、材木として隣国などに売り、そこに街や村をつくって暮らし始めた。
森に多くの資源が眠っていたため、彼らは資材を提供する仕事をつくった。
鉄鋼や動物の骨、油、木材、宝石、糸などなど。
どれも品質は極めて高く、国外での人気は爆発的である。
また、豊かな材料をすぐに調達できるという利点から、多くの職人が生まれ、集い、発展していった。
彫刻師、人形技師、玩具職人、画家、ランプ職人、時計職人……
彼らの技量もまた並みのものではなく、やはり国の外から技師として雇いたいという声がやむことがない。
『木の国』であり、『資材の森』。
そして、『技師の宝庫』として注目されている国。
その南東に位置する街・ルースには、あらゆる職人が暮らしていた。
リシャーナを訪れた者や旅人が、必ずといっていいほど立ち寄る大きな街である。
国内の資材や物資だけでなく、国外からの流通も多い。
ただ、周囲の村と街、隣国の里との間はかなり距離があり、森が最も深いうえに道も険しいので、素人が簡単に訪れることのできる街ではなかった。