極彩色のクオーレ

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翌日、少年は出発する前に、ティファニーの折れた杖を参考に新しく杖をつくった。


ただ材木を削ればいいという単純な作業ではない。


これを持つ人が使いやすくなるよう、考えて工夫しなければならないのだ。


泊めてもらったお礼である。


しかしその作業中に、開け放した窓から長い毛で全身を覆った小さな獣が迷い込み、暴れ回って鏡と椅子を一脚壊してしまった。


そちらの修理も行って結局、出発できるようになったのは昼過ぎだった。



「隣町へ行くまでに野宿になっちゃうよ?」



もう一晩泊まっていったらというティファニーの提案を、少年は丁重に断った。


ルースには長期間滞在してしまっている。


ここで出なければ、ずるずると日数が伸びていくような気がしたのだ。



「昨晩はお世話になりました」


「ううん、私こそ、ギリギリまでたくさん助けてくれてありがとう。


……またルースに来たら、絶対に遊びに来てね」


「はい、そうさせてもらいますね」


「約束だよ」



やや悲しげなティファニーと指切りをして、少年は彼女の家を立った。


道に出て、ルースとは逆の方へ進み始める。


次の目的地は、鍛冶で知られる隣町・キューレットだ。




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