極彩色のクオーレ
緩やかに曲がり、小さな起伏のある道をひたすら歩く。
地図によれば省略記号が使われるほど、この一本道は続いているらしい。
キューレットはその先にある。
「これは野宿を覚悟で行きませんとね……」
森の木々で狭く区切られた空は、青が濃くなっている。
かなり歩いているが、恐らく3分の1も進んでいないだろう。
代わり映えしない森の景色は、かなり退屈である。
再び緩やかなカーブに差しかかったとき、頭上から羽ばたきが聞こえた。
近づいてくる。
少年は足を止めて空を仰ぐ。
茶褐色のテガミバトが、四つ折りの紙をくわえて降下してきた。
棍棒の先端にとまり、嘴を少年に向ける。
少年が受け取ると、テガミバトは空へと飛翔した。
「知らないテガミバトですね……。
面識のない人間に届けられるなんて、さすが優秀です」
少年は畳んである紙を広げた。
何かの紙の端で、走り書きされてある。
『俺が行くまでその場を離れるな セドナ』
なにかあったのだろうかと少年は首を傾げる。
伝言のとおりすぐ傍の大岩に腰掛け、セドナを待った。