極彩色のクオーレ
言いながら少年は手板を操作する。
昨晩のように兵器は出ず、少年の中で機械音が鳴るだけだ。
「それじゃあ、しっかり掴まっててくださいね」
セドナが意味を尋ねるより早く、少年は地を強く蹴った。
目の前に見えている地面が離れたので、彼が跳躍したのだとセドナは理解する。
ただ、流れていく地面の景色が異様に速い。
身体を撫でる空気が冷たく、火照りが一気に冷めていく。
風圧で髪がはためき、目を開いて正面が向けない。
(こいつ、こんなに足速いのか……!?)
腹部に回された腕にしっかり掴まって、セドナは少年を見上げた。
相変わらず少年は無表情だ。
平然としたまま、馬車にも勝る速さでルースに向かっている。
「おまっ」
言いかけて、セドナは顔をしかめた。
少年が着地したはずみに、舌を噛んでしまったのだろう。
聞き返されてもセドナは口を押さえて首を振り、少年が止まるまでしゃべるまいと心に誓った。