極彩色のクオーレ
太陽が西へ傾きだし、空の東端がわずかに紅に染まり始めている。
行くときの何倍もの速さで、少年はティファニーの家まで戻った。
タイルが並べてあるところで足を止め、そこにセドナを降ろしてやる。
なぜかセドナは青い顔をしていて、へなへなとその場に四つん這いになった。
「どうしました?」
「うぷ……お前、速すぎ……軽く酔った」
セドナはもう一度水を飲んで、悪くなった気分を整える。
「……今の、お前の最高速度?」
「どうでしょう……多分、まだ速く走れると思います。
マスターは、ぼくの走る性能とか、兵器と外見以外の部分は改造していないと言っていました。
雑兵人形だったとき、敵の馬を突き放して逃げたことがあったんで、恐らくそのくらいは走れるかと」
もう絶対、走ることに関してはこいつに担がれたり頼ったりしない。
セドナが胸の内でひそかに決断したのは言うまでもなかった。