極彩色のクオーレ
復活したセドナは、少年の腕をぐいぐい引っ張って進む。
ティファニーは家の中ではなく庭にいた。
昨夜のようにやってきた森の客に、パンを与えている。
「ティファニー」
セドナに呼ばれて、ティファニーの背中がぴんと伸びる。
闖入者に驚いたのか、動物たちは木の間へと逃げこんでいった。
「呼び戻してきたぞ、修理屋」
「……うん、ありがとう」
行けよ、とセドナが顎をしゃくる。
少年はその場に荷物を置いて、ティファニーの傍に寄った。
どこか夜の気配をまとった風が吹く。
ティファニーも立ち上がり、こちらを振り向いた。
「ごめんね、引き戻しちゃって」
「いえ、構いませんが……どうしましたか?」
ティファニーが俯き、髪を耳にかける。
セドナは庭の入口に立ったまま、彼女を見つめていた。
少年もティファニーを静かに見つめ、返答を待つ。
「……私ね、修理屋くんが来てくれて、本当に嬉しかった」
風が止んでから、ティファニーはそう発した。