極彩色のクオーレ
「ここに居てほしいの……!」
――キン。
清音を聞いた一瞬、すべてが青色に映る。
そのわずかな間だけ、少年の意識は過去へと流れた。
それと共にティファニーの感情が伝わってくる。
(そうだ……思い出した)
芽生えかけていた、名前の知らない”心”。
忘れていて、いつしか少年の中でなかったことにされていた。
「……突然ではなかった」
「え?」
「マスターはいなくなる一晩前、そのことを匂わす発言をしていました。
その言葉に対して、何かの感情が生まれかけた。
でも、マスターはその”心”の名前を教えてはくれませんでした。
……それが何であったのか、今分かりました」
一緒にいたい。
ずっと隣にいてほしい。
相手の存在をかけがえのないものと思うからこそ芽生える、『誰かを必要とする』心。
ティファニーに同じ感情をぶつけられ、少年はようやく針に刻むことができた。
そうして記憶が蘇った。