極彩色のクオーレ
再びティファニーが問いかける。
先ほどより、いくらか悲しげな声色になっていた。
「いえ、そんなことはありませんよ。素敵な名前だと思います」
「ほ、本当?じゃあ、ニコって名前でいい?」
「はい」
少年が頷くと、ティファニーは口元に笑みを浮かべ、両手で頬を挟みこんだ。
嬉しくてたまらないといった様子である。
ニコ
声には出さず、もらった名前を繰り返してみる。
優しい響きの名だ。
マスター以外の人間につけてもらえるとは思いもしなかった。
「これからよろしくお願いします」
「こちらこそよろしくね、ニコ」
少年はティファニーに深く頭を下げる。
それから、後方に立つセドナを振り返った。
セドナは腕組みをしていて、どうしてだか得意そうな表情になっている。
「セドナも、改めてよろしくお願いします」
「おまけにくっつけてくれて、どうもありがとよ」
「セドナ、なんで怒ってるの?
あ、仲間外れにしていたわけじゃないんだよ、ちゃんとセドナもいてくれてるって分かっていたから」