極彩色のクオーレ
* * *
『マスター、今日はいつになく機嫌がいいですね。
鼻歌を歌いながら嫌いな皿洗いをするなんて、珍しくて少し気持ち悪いです』
『お前、もうちょっと歯に衣着せて言えよ……。
機嫌が良くなるのは当たり前だろ、苦労して辛抱強く待ってた資材が手に入ったんだもん。
これを使ってまた、さらに優れたゴーレムが造れる。
今度は空を飛んだり海底を泳いだりするのでも造ろうかな……』
『発想がどんどん広がっていて良かったですね』
『人間は考える葦だし、その代名詞がおれだ。
考えるのも造るのも止めたら、そんなのおれじゃなくなる』
『なるほど……』
『あ、そうだ。お前にコレやるよ』
『コレって、マスターの工具じゃないですか。
しかも凄腕の工具師につくってもらった、かなり気に入っているものでは……』
『いいんだよ、卒業の証だ。修理屋見習いのな。
おれの作った懐中時計をここまで完璧に直せたんだ、もう十分な技能が身についたってことだよ。
お前が『成長する』ゴーレムだってことも良くわかった。
いいから受け取れよ、他人の厚意はありがたく貰っておくのが礼儀ってもんだぞ』
『……ありがとう、ございます』