極彩色のクオーレ
今日は1週間に一度の、買い出しをする日。
日用品や食材を購入した2人は、セドナとの待ち合わせ場所へのんびり向かっていた。
「セドナがこの時間から仕事あがれるの、珍しいですね」
「そうだね、10個目の依頼も無事にこなせたから、ルーアンさんのはからいかも。
今日はたくさん美味しい料理を作ってあげないとね」
ティファニーは食材の入った鞄を撫でる。
いつもより重いのはそのためかと、ニコは納得した。
角を曲がり、背の高い街路樹が等間隔に並ぶ大通りを歩く。
するとそのうちの1本に、不自然なものがぶら下がっていた。
近づくにつれて、それが何であるのかはっきりしてくる。
「だ、誰か助けてえええ」
情けない声の主は、小柄な少年だった。
太い縄に右足首を掴まれ、宙吊りになっている。
中性的な顔は涙でびしょびしょ。
地面に降りようともがくが、背負っている荷物と裾の長い上着が邪魔をして、うまくいっていないようだ。
「……ニコ、今近くで『助けて』って声が聞こえたけど、気のせいじゃない?」
足を止め、ティファニーがきょろきょろする。
「街路樹に男の子がぶら下がっています。
獣を生け捕りにする罠にかかったようですね。
あ、この間ティファニーをいじめていた子ではありませんよ」