極彩色のクオーレ
「見習いとは思えない出来栄えですね」
「セドナは毎日、休みじゃないときは朝早くから夜遅くまで修行しているからね。
あの子が一人前と認められる日が楽しみだよ。
そうならないと、セドナに仕事を依頼できないからねぇ」
パクにオムレツとスープを出して、女将は青年を振り返った。
「おまえさん、明日時間あるかい?」
「いや~、明日は加工職人のところへ売りに行って、それからファイア村へすぐ戻る予定なんで、難しいっすね」
「加工職人か……飾り職人の区画と真反対だねぇ」
「あの、ぼくが行きましょうか?」
埒が明かなそうなので、少年は進み出た。
女将が困ったように眉根を下げる。
「いいのかい?
あんただって、ルースに用事があるんだろ?
無理にとは言わんよ」
「ルースに来たことには、特に目的があるわけじゃないんです。
気が向いたから来ただけですので、用事は何もありませんよ」
それに、この髪留めは早く届けるべきだろう。
セドナが困っているかもしれないから。
「……そうかい。じゃあ、あんたにお願いするよ。
場所は明日、教えてあげるからね」
「どうも。それじゃあ、おやすみなさい」
少年はペコリと頭を下げ、髪留めを片手に部屋へと歩いた。