極彩色のクオーレ
枕元のテーブルに髪留めを置き、少年は窓に近づいた。
臙脂色の光が、あちらこちらで咲いている。
彼がこれまで訪れた街や村で、ここまで明るい場所はなかった。
「さすが、ルースってところですかね。
リシャーナ国最大の街だからかな。
まだまだ街は眠りにつかない、という言葉はこのことを意味しているんですねぇ」
少年は椅子に腰かけ、鞄から地図を取り出した。
歩いてきた道を指でなぞる。
「あの人と別れてから半年……経っているのも不思議じゃないか。
いつの間にか、隣の国まで来ちゃってますからねえ」
今でも、ふとした拍子に鮮明に思い出せる。
あいつの姿や声、表情、交わした言葉や教えてもらった技術。
「まったく、どこをほっつき歩いているんでしょうね……。
はた迷惑でしかないゴーレム、行く先々で置いていなきゃいいんですけど」
ふと部屋に視線を移すと、針が止まった時計が目に入った。
地図をしまって工具を手にし、のんびりと修理する。