極彩色のクオーレ
時を刻み出した時計を眺め、少年はよし、と真顔で頷いた。
とても分かりにくいが、満足しているようである。
そういえば、初めて一人で修理したのは懐中時計だった。
突然いなくなったあいつの代わりに、足元に落ちていた鈍色の時計。
もう売ってしまったので、手元にはないのだけれど。
『作れない?それでもいいんじゃねえの。
直すことが得意な奴も、壊すのが得意な奴も、いないよりいた方が面白いじゃん。
何でも直せる修理屋。
おまえなら、なれると思うぜ』
記憶の中で、声が響いた。
工具を握る手に力がこもる。
あとどれくらい、自分は『直すこと』ができるのだろう。
「……でも、直すには、壊れないといけないですよね」
少年は息交じりにそう落とし、カーテンを閉める。
ぽつぽつと消えていく外の明かりに紛れて、少年の部屋も暗くなる。
職人の街は、ゆっくり眠りについていった。